耳を塞がないイヤホンは、耳のフチを挟むイヤーカフイヤホンと、耳の入口に本体を置くステム型のどちらが自分の耳に居座れるかで決まる。音質から入ると決まらない。EARSOLEの該当3機種でいうと、防水について何か書いてある商品ページは1つだけで、そこに載っている一文は「防水ではない」だ。判断は、こういう空欄の扱い方から始めたほうが速い。
「塞がない」形は、耳のどこを使うかで二つに分かれる
イヤーカフ型イヤホンと呼ばれる形は、C字のブリッジが耳のフチに回り込み、音を出す本体を耳の穴の外側に浮かせる形だ。装飾品のイヤーカフと同じ場所を使うので、この呼び名になっている。EARSOLEのButterflyの商品ページは、ブラッシュピンクのC字ブリッジが耳の外周を挟み、光沢のあるローズゴールドの本体が耳の穴の外側に位置する、と書いている。シリコンのイヤーピースは使わない。
もう一方は、耳の入口に本体を置くだけのステム型だ。Three-Colorの掲載仕様は「耳の入口に置くオープンフィット」「イヤーピース:なし」「ステム型」の3行で、耳の外周そのものは空いたままになる。耳の上を跨ぐイヤーフックとも、耳のフチを挟むクリップとも、占有する場所が違う。
オープンイヤー型イヤホンと総称されるこの二つに共通するのは、耳の穴が開いたままという一点だけだ。だから遮音は原理的に起こらない。3機種ともANC(耳に届く音を打ち消す処理)の記載はなく、Clip-OnとButterflyの商品ページは「ノイズキャンセリングはない」と自分で明記している。名前の似ているENC、つまり通話中に相手側へ届く音を整えるマイク側の処理についても、3機種とも記載がない。ANCとENCは効く先がまったく違う処理で、どちらも「書いていない=ない」で扱うのが安全だ。
カナル型と決定的に違うのは、サイズ調整の考え方でもある。イヤーピースのS/M/Lで耳の穴に合わせるという工程が、この形には存在しない。合う合わないは、耳のフチのどこにクリップを置くかという位置の問題にほぼ集約される。

骨伝導とは、当たる場所も鳴らし方も違う
同じ「耳を塞がない」でも、骨伝導は振動を骨から内耳へ送る方式で、本体は耳の前の頬骨あたりに当たる。クリップ型とオープンフィットは、耳の外に置いた小さなスピーカーが空気を鳴らし、耳の入口へ音を届ける。3機種の掲載仕様に骨伝導という記載はない。当たる場所が違えば、メガネやマスクとぶつかる位置も、汗のかかり方も変わってくる。骨伝導が合わなかった経験は、そのままこの形の判断材料にはならない。
イヤーカフイヤホンは、日本の相場のどこに入るか
国内のワイヤレスイヤホン全体で見れば、1,000円台の量販品から、3,000〜5,000円のコスパ帯、10,000円前後の中級機、30,000円を超える上位機まで幅がある。ただしイヤーカフという形に絞ると、執筆時点で売り場に名前が挙がる主要モデルは7,000円台から40,000円台に集まっていて、下の方が薄い。この2年ほどで一気に選択肢が増えたイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンは、まだ価格の下限が動いている最中の形だ。
EARSOLEの3機種は執筆時点の表示価格で$28.99・$36.99・$24.99。1ドル155円で換算すると、それぞれ約4,500円・約5,700円・約3,900円になる。この形としては入門の価格帯にあたり、そのことは期待値にそのまま反映しておいたほうがいい。価格から機能を逆算しない、というのがこの帯では一番効く。
表示はUSDで、発送も海外からになる。到着までの日数と送料は注文時の表示で確認してほしい。個人輸入では金額に応じて関税や消費税がかかる場合があり、条件は税関の現行の案内で確かめるのが確実だ。もう一点、日本国内で使う無線機器には電波法上の技術基準適合証明、いわゆる技適マークが関わってくる。3機種の商品ページにその記載はなく、当店としても取得状況を確認できていない。気になる場合は購入前に問い合わせてほしい。
3機種の商品ページで、埋まっている行と空いている行
下の表は、3機種の商品ページに実際に載っている内容だけを並べたものだ。「掲載画像で見える形」の行だけは、仕様表の文言ではなく、商品ページに載っている画像を見て確認した内容になる。
| 項目 | Open-Ear Clip-On(LEDケース) | Butterfly クリップオン | Three-Color オープンフィット |
|---|---|---|---|
| 掲載画像で見える形 | 黒いプラスチックのクリップ、本体は耳の穴の外側 | C字ブリッジとローズゴールドの本体、蝶の飾り | ステム(軸)のある本体、ケースは各色と同色 |
| 耳への当たり方 | 耳の外側に留める/イヤーピースなし | 耳のフチに回り込むC字ブリッジ | 耳の入口に置く/イヤーピースなし |
| 操作 | タッチ操作(音楽・通話) | 掲載仕様に記載なし | 掲載仕様に記載なし |
| ケース | 前面LED表示、左右個別の残量、USB-C充電、リチウムポリマー電池 | 本体と同色の充電ケース | ヒンジ式の同色ケース |
| ノイズキャンセリング | なしと明記 | なしと明記 | 記載はないとページに明記 |
| 防水 | 防水ではないと明記 | 記載なし | 記載なし |
| 色 | ブラック | ローズピンク | ブラック/ホワイト/ソフトピンク |
| 執筆時点の価格 | $28.99(約4,500円) | $36.99(約5,700円) | $24.99(約3,900円) |
| 再生時間・充電時間 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| Bluetoothのバージョン・コーデック | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| マルチポイント・低遅延モード | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| 技適マーク | 記載なし | 記載なし | 記載なし |

空欄の多さそのものは、この価格帯の商品ページでは珍しくない。問題は、空いている行を自分に都合よく埋めてしまうほうにある。ついでに言えば、Bluetoothのバージョン番号さえ書いてあれば安心かというと、そこも単純ではない。Bluetooth SIGの技術概要は、この通信をBluetooth ClassicとBluetooth LEという2つの無線に分けて説明していて、ワイヤレススピーカーやヘッドホンの標準的な無線として使われてきたのはClassic(BR/EDR)のほうだ。5.3か5.4かという数字より、AACのようなコーデックやLE Audioへの対応が書かれているかどうかを見るほうが実用的だ。国内はiPhoneの比率が高くAACの扱いが効いてくる場面が多いが、3機種の商品ページにコーデックの記載はない。
電車・在宅・メガネ、日常で効いてくる三つの条件
漏音は、音量よりも「まわりの静かさ」で決まる
耳を密閉しないので、鳴っている音の一部はそのまま空気に出ていく。隣の人に届くかどうかは、音量の絶対値より、音量と車内の騒がしさの比で決まる。走行中に「ちょうどいい」と感じた音量は、駅に停まって走行音が消えた瞬間、相対的に大きくなる。対策は単純で、停車中の静かな状態で音量を決めておき、走行中に上げたなら次の停車前に戻す。
オープンイヤーのワイヤレスイヤホンで音量が上がりやすいのも、理屈は同じところにある。遮音がないぶん、騒音に負けた音を音量で埋めることになるからだ。WHOの安全な聴取に関する解説は、機器の音量を最大の60%以下に保ち、平均で80dBを下回るように勧めている。同じ資料の表では、80dBなら週40時間、85dBで12時間30分、90dBまで上がると週4時間が目安とされ、5dB上がるごとに時間はおよそ3分の1になっていく。同じ表で80dBの例に挙がっているのは普通の会話の声、85dBの例は玄関のチャイムの音で、日常の音量感としてはその程度の差だ。
痛み、かゆみ、耳鳴り、聞こえ方の変化を感じたら使用をやめ、専門の医療機関に相談してほしい。
メガネ・マスク・ピアスと場所を取り合わないか
クリップ型は耳の上を跨がず、耳のフチに回り込む。Butterflyの商品ページのFAQは、クリップが耳の上に掛かるのではなく縁を回るため、メガネのつるとは違う場所を使う、と説明している。マスクのゴムも耳の付け根を通るので、耳の外周に付くクリップとは経路が分かれる。メガネとマスクを毎日両方使う人にとって、ここは実際の分かれ目になる。
ピアスについても同じページに書かれていて、小さめのスタッドなら共存しやすく、大きめのフープは位置をずらす必要がある、とある。着けて痛みが出るなら、まずクリップを耳のフチの柔らかいところへ数ミリ動かす。Clip-OnのFAQも、きついと感じたら少し上か下へ位置を変えるよう案内している。数ミリずらしても当たり方が変わらないなら、その個体の挟む幅が自分の耳に合っていない可能性が高い。ステム型のオープンフィットは耳の入口に置くだけなので、そもそも耳の外周を取り合わない。

汗と雨は、書いてあるかどうかだけで判断する
Clip-Onの商品ページは、防水ではないと明記したうえで、雨・シャワー・水没を避け、汗をかいた後は洗い流さず乾いた布で拭くように案内している。ここまで書いてあるのは3機種のうちこの1つだけで、ButterflyとThree-Colorには防水についての記載自体がない。記載がないものは「ない」として扱うほうが安全だ。梅雨どきの通勤と、夏場に汗をかく時間帯に、この一行が効いてくる。ランニングやジムを主な用途に考えているなら、IPX4やIPX5のような等級が明記された製品を選ぶことになる。3機種にその表記はない。
クリップ型を初めて使う人から届く質問
一日中着けていると痛くなりませんか
耳の穴に何も入らないので、イヤーピースの圧迫で疲れる種類の痛みは起きにくい。痛みが出るとすれば、クリップが強く当たっている一点に集中する。商品ページのFAQは、少し上か下へずらす、耳のフチの柔らかい部分へ動かす、という調整を案内している。位置の問題であることが多く、数ミリの移動で当たり方は変わる。それでも変わらないなら、挟む幅がその耳に合っていない。
在宅で使うと、インターホンや家族の声は聞こえますか
耳の穴が開いたままなので、部屋の音は再生中の音と一緒に届く。3機種とも商品ページが遮音しないことを明記していて、これは欠点ではなく設計上の性格だ。耳に入れないイヤホンを在宅ワーク用に選ぶ人の理由はほぼここにあり、宅配のチャイムや呼びかけを取りこぼしたくない使い方と相性がいい。逆に、音に没入して進めたい作業時間には向かない。
スマホとパソコンを行き来する使い方はできますか
ペアリングの手順はどれも一般的なもので、Clip-OnとButterflyはケースから両方取り出して、Three-Colorはケースを開けて、スマートフォンやパソコンのBluetooth設定の一覧から選ぶ。初回以降は、前の2機種は取り出したとき、Three-Colorはスマートフォンの近くでケースを開いたときに自動で再接続する、と各ページに書かれている。専用アプリは不要ともThree-Colorのページにある。ただし2台同時に待ち受けるマルチポイントの記載は3機種ともない。会社のパソコンとスマホを頻繁に行き来するなら、その都度つなぎ直す前提で考えておくほうが安全だ。
どの形で止めるか
オープンイヤーイヤホンのおすすめを一つに絞りにくいのは、この形の価値が「何が聞こえるか」ではなく「何が聞こえたままか」で決まるからだ。使う場所を先に決めれば、選択肢は勝手に減る。
メガネとマスクを毎日使い、耳の上を空けておきたいなら、クリップ型が素直に当てはまる。3機種のうち操作方式とケースの表示について具体的な記載があるのはOpen-Ear Clip-On Wireless Earbuds with LED Charging Caseで、タッチ操作、前面LEDの左右個別表示、USB-C充電、リチウムポリマー電池までが仕様表に載っている。身につけて見える部分を優先するならButterfly Open-Ear Clip-On Wireless Earbuds、片手で出し入れする慣れた形で色を選びたいならThree-Color Open-Fit Wireless Earbuds。後者の2つは仕様表の行数が少ないぶん、届いてから自分で確かめる項目が増えると考えておいたほうがいい。
逆に、この形を選ばないほうがいい場面もはっきりしている。汗をかく運動が主な用途なら、防水等級が明記された製品を選ぶ。飛行機や地下鉄で静けさが欲しいなら、密閉するカナル型のほうが目的に合う。形と色を並べて見たいときはオープンイヤー・クリップ型イヤホンのコレクション、密閉型も含めて見比べたいときはEARSOLEの全商品で、現在の価格と在庫を確認してほしい。
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