ランニングイヤホンは、音質より先に、耳のどこで止まるか、汗の等級が書いてあるか、走りながら操作できるかの三つで絞れる。EARSOLEの該当3機種でいうと、防水の等級が数字で書いてあるのは骨伝導機のIP54だけで、クリップ型の商品ページは「非防水」と自分で明記している。走る用途では、この一行のほうが再生時間より先に効く。
走っているあいだ、耳のどこで止まっているか
落ちるかどうかは、耳のどの部分が本体を支えているかで決まる。着地のたびに縦の衝撃が入り、汗で摩擦が減り、腕振りで髪や襟が触れる。この三つに耐える場所は、耳の中に三通りしかない。
ひとつめは耳の上を跨ぐフックだ。EARSOLEの耳掛け型の商品ページは、耳の形や大きさに合わせて馴染むよう調整できるイヤーフックを備え、ランニングやサイクリング、負荷の高いトレーニング中も所定の位置に留まると書いている。支点が耳の付け根の上にあるので、本体が多少重くても縦揺れをフックが受ける。同時に、耳の中にはシリコンのイヤーピースが入る形なので、支えは二か所になる。
ふたつめは後頭部に回るバンドだ。骨伝導機は軽量のラップアラウンド構造に柔らかい肌当たりのシリコンを使い、動いているあいだも安定して収まるとしている。頭の後ろで輪が閉じるので、片側だけが落ちるという壊れ方をしない。落とし物の心配が一番小さいのはこの形になる。
みっつめは耳のふちを挟むクリップだ。こちらは耳の中に何も入らず、外側の軟骨をばねで挟むだけで止まる。商品ページは通勤や運動、通話、普段使い向けの軽量な形と述べていて、締めつけが強すぎると感じたら少し上か下にずらして座りのいい位置を探すよう案内している。裏を返せば、位置決めが合っていないと支えは一点だけになる。歩く速度なら問題にならず、着地の衝撃が繰り返し入る速度では条件が変わる。

汗と雨は「等級が書いてあるか」で線が引ける
ランニング用イヤホンで一番はっきり比べられるのが、この項目だ。数字の等級が書いてあれば条件が確定し、書いていなければ確定しない。それだけの話で、間の解釈は要らない。
骨伝導機の掲載仕様はIP54で、汗、水はね、小雨に耐えるとしている。IPコードは前の桁が粉じん、後ろの桁が水に対する保護を表すので、5は粉じんの侵入をほぼ防ぐ段階、4はあらゆる方向からの飛まつに耐える段階にあたる。夏の汗、途中で降り出した雨、ジムのマシンまでは想定の内側だ。走り終えて流水で洗う、そのままシャワーを浴びるといった使い方は、この等級の想定の外になる。IPX5やIPX7と比べたいときも、後ろの桁だけを見れば足りる。
耳掛け型は、汗とほこりに強い作りだと述べているが、IPの等級そのものが書かれていない。文章としての強さはあっても、どこまでを想定した強さなのかが確定しない。夏場に一時間走る前提なら、この空欄は無視できない差になる。
クリップ型は逆に、はっきりしている。商品ページの仕様表は「非防水」で、雨やシャワー、水没を避け、汗をかいたあとはすすがずに拭き取るよう書いてある。よくある質問の欄はさらに踏み込んでいて、雨のランや大量に汗をかくワークアウト、プールサイドでの使用は避けるよう案内している。同じページに載っている販促画像にはWORKOUTと書かれた運動中の写真が並ぶが、仕様表と質問欄の記述のほうが条件としては厳しい。走る用途では、こちらを優先して読むほうが安全側に立てる。

冬の手袋と濡れた指では、操作方式の差が出る
走行中に触るのは、せいぜい音量と一時停止くらいだ。それでも、方式の違いは冬にはっきり出る。
耳掛け型は、メインボタンと音量ボタンが別々の物理ボタンになっている。商品ページは、複雑なタッチ操作や、運動中の誤タップの煩わしさを避けられる点をこの構造の理由として挙げている。押した手応えが返るので、手袋をしたままでも、汗で指先が濡れていても、当たった場所が分かる。腕振りのついでに耳をかすめても、押していなければ何も起きない。
クリップ型はタッチ操作で、タップで音楽と通話を扱う。机の前や通勤では静かで速い方式だが、濡れた指と厚手の手袋はどちらもタッチの苦手な条件だ。骨伝導機については、商品ページに操作方式の記述がないため、ボタンなのかタッチなのかは掲載内容からは判断できない。
もうひとつ、冬に効くのは充電端子の側だ。骨伝導機とクリップ型のケースはUSB-C充電と明記されている。耳掛け型は充電ケースを併用する形だが、端子の種類は書かれていない。走る前の10分で充電したい人は、手持ちのケーブルで足りるかどうかを先に確かめておくといい。

三機種の掲載仕様を、走る条件でそろえる
下の表は、商品ページに書いてあることと書いていないことをそのまま並べたものだ。空欄を推測で埋めていないので、比べるべきなのは○×ではなく、どこに「記載なし」が立っているかになる。
| 走るときに効く項目 | 耳掛け型($28.99) | 骨伝導($39.99) | クリップ型($28.99) |
|---|---|---|---|
| 耳での支え方 | 調整式フック+イヤーピース | 後頭部に回るシリコンのフレーム | 耳のふちを挟むクリップ |
| 防水・防じんの記載 | 汗とほこりに強いとの記述のみ、等級は記載なし | IP54 | 非防水と明記 |
| 操作方式 | メインと音量が独立した物理ボタン | 記載なし | タッチ操作 |
| 再生時間の記載 | 本体8時間、ケース併用で最大80時間 | 1回の充電で最大12時間 | 記載なし |
| 充電端子 | ケース併用、端子は記載なし | USB-C | ケースがUSB-C |
| 外の音の扱い | 耳をふさぐ形 | 耳の穴は空いたまま | 耳の穴は空いたまま、ANCなしと明記 |
| Bluetoothのバージョン・コーデック | いずれも記載なし | いずれも記載なし | いずれも記載なし |
三機種に共通して空いているのが、最後の行だ。Bluetoothのバージョンも、AACやSBCといった対応コーデックも、2台待受や低遅延モードの有無も、どのページにも書かれていない。国内の利用者の過半はiPhoneなので、AACで接続されるかどうかを条件にしている人は多いはずだが、掲載内容からはそれが確定しない。ここを外せない条件にしているなら、記載が埋まるまで保留にするのが筋になる。バッテリー容量のmAhと本体重量のグラム数も、3機種とも数字が出ていない。
価格は執筆時点で、耳掛け型とクリップ型が$28.99、骨伝導機が$39.99。1ドル150円で換算するとおよそ4,400円と6,000円だが、為替と海外からの送料で上下する。国内の量販店で同じ帯を探すときの目安として使うくらいがちょうどいい。もうひとつ、国内で無線機器を使う際の表示制度についても触れておく。総務省の電波利用ポータルは、技術基準適合証明等を受けた機器には、その旨の表示(通称、技適マーク)が付されていると説明している。上の3機種の商品ページには、この表示に関する記載がない。
大会と、走る場所で変わる条件
普段の練習と、エントリーした大会では、条件がまったく別になる。マラソンやロードレースでは、ヘッドホンやイヤホンの使用を禁止する大会、推奨しないと明記する大会があり、扱いは主催者ごとに分かれている。参加要項の該当項目を、申し込む前に一度読んでおくのが確実だ。禁止されている大会で当日に外すことになると、練習で作った走り方のリズムがそこだけ崩れる。
練習の場所によっても、優先順位は入れ替わる。皇居の周回のように歩行者と観光客が混ざるコースや、車道沿いを走る区間では、後ろから来る自転車のベルや車の接近音が聞こえていることのほうが、音質より先に来る。耳の穴が空いたままの形——骨伝導機とクリップ型はどちらもこの形だ——が向くのはこの条件で、クリップ型の商品ページも、耳の穴が覆われないので周囲の音を打ち消すことも物理的に遮ることもしないと書いている。逆に、屋内トラックやジムのマシンで音に集中したいなら、耳をふさぐ耳掛け型のほうが条件に合う。
耳が開いている形を選んだときに起きやすいのが、周りがうるさいぶん音量を上げてしまうことだ。外の音を残すために選んだ形で外の音に負けて音量を上げると、選んだ理由のほうが消える。走る前に音量の上限を決めておくと、この逆転は起きにくい。
痛み、かゆみ、耳鳴り、聞こえ方の変化が出た場合は、使用をやめて専門家の診察を受けてください。
ランニングで引っかかりやすいところ
汗をかいたあと、水で洗い流していいか
3機種のうち、洗い流してよいと書いてあるページはない。骨伝導機のIP54が想定しているのは汗や水はね、小雨までで、流水や水没はその外にある。クリップ型は非防水で、商品ページはすすがずに柔らかい乾いた布で本体とケースの接点を拭き、使わないときはケースを閉じて保管するよう案内している。耳掛け型は等級の記載がないため、判断の材料がそもそも足りない。走ったあとは拭き取りで済ませるのが、どれにも共通する扱いになる。
片耳だけで走ってもいいか
耳を片方だけ空ければ安全になる、という単純な話ではない。基準になるのは装着の形ではなく、そのとき周囲の音が聞こえていたかどうかだ。片耳にしても音量が高ければ聞こえないし、両耳でも耳の穴が空いていて音量が低ければ聞こえる。走る場所のルールが別に決まっている場合はそちらが優先されるので、コースや大会の規定を先に確認してほしい。
走りながらの通話は、どこまで期待できるか
スポーツ用ワイヤレスイヤホンをこの用途で見るなら、見る欄はマイク側だ。耳掛け型の商品ページは10mmのダイナミックドライバーと2つのマイクを備え、屋外や移動中でも相手に届く声を拾えるよう、マイクが周囲の騒音を抑えると書いている。これは通話時のマイク側の処理、つまりENCにあたる説明で、自分に聞こえる音を打ち消すANCではない。3機種のいずれも、ANCがあるとは書いていない。走りながらの通話を条件にするなら、風の当たり方で結果が変わる点も見込んでおきたい。
ランニングイヤホンのおすすめを一覧で見比べる前に、条件は三行に落ちる。汗と雨をどこまで想定するか、外の音を残すか消すか、走りながら手袋で触るか触らないか。汗を多くかいて冬も走るなら、等級の空欄が残っていても物理ボタンのあるEARSOLE Sport Ear-Hook Wireless Earbudsが条件に近い。等級が数字で書いてあることと、片側だけ落とさない形を優先するならEARSOLE Bone Conduction Open-Ear Sport Headphones。クリップ型のオープンイヤー機は非防水と明記されているので、走る用途ではなく、通勤や在宅の側に置いたほうが記載と噛み合う。耳をふさがない形をまとめて比べたいときはオープンイヤー・クリップ型イヤホンの各ページで同じ7項目を当てていくと、空欄の位置の違いが見えてくる。取扱一覧はショップ、ほかの記事はブログ一覧から。
MX-21 ブラック×ゴールド ワイヤレスヘッドホン
Q2 Pro パープル クリスタル イヤモニ
Purple Sleep Headband Headphones with Triangle Controls
Cream Reflective-Stem Wireless Earbuds
IN-01 ホワイト ANCイヤホン(ケース内側ペールブルー)
シルバー カプセル型 オープンイヤーイヤホン
MN ローズメタリック 着脱式ケーブル イヤモニ
ブラック ANCイヤホン 4インジケーターケース

