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ガイド · 通話イヤホン

通話とWeb会議で見るのは、ANCの欄ではなくマイク側の欄

· 執筆: Rowan Ellis

黒いイヤホン本体2つと、正面のLCD画面に緑と赤の通話ボタンが表示された黒い充電ケース。左側に英語で「BUILT-IN MICROPHONE」「Made for clearer phone calls.」と入った商品ページ掲載のグラフィック

通話で相手に聞き取ってもらえるかどうかは、耳に届く音を減らす機能ではなく、マイク側に何が書かれているかで決まる。マイク付きイヤホンの商品ページで先に開く行は騒音処理の欄で、EARSOLEのCloud Whiteにはそこにコール用のENCとCVC音声処理の両方が並び、耳側を打ち消すANCの記載はない。軸に小さな開口部があること自体は、商品ページの掲載画像で確認できる。

相手に届く声と、自分に聞こえる音は別の経路を通る

同じイヤホンでも、音楽を流しているときと通話しているときでは、端末とイヤホンの間で使われる仕組みが違う。Bluetooth SIGの仕様ページでは、音楽などの配信は「高音質のオーディオ配信」を担うA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)が扱い、携帯電話とハンズフリー機器の組み合わせはHFP(Hands-Free Profile)という別の仕様が定義している、と説明されている。つまり通話が始まった時点で、端末はマイクを含むハンズフリー側の経路に切り替える。

ここから、在宅ワークでよく起きる二つの現象が説明できる。ひとつは、着信の瞬間に音楽の音質が急に変わること。もうひとつは、コーデックの欄を熱心に比べても通話の聞こえ方は変わらないことだ。AAC、SBC、LDACといった名前が効くのは配信側の経路で、通話中はその経路を使っていない。日本ではiPhoneの利用者が多く、AAC対応かどうかを最初に確認する人が多いが、ワイヤレスイヤホンでの通話に関しては、その欄よりENCの記載のほうが直接効く。

用語の切り分けだけ先に置いておく。ENCとCVCは送話側、つまり相手のスピーカーから出るあなたの声を整える処理。ANCは受話側、あなたの耳に入ってくる周囲の音を減らす処理。「ノイズキャンセリング」という一語が両方に使われるので、どちらの話をしているのかはANCとENCの違いを商品ページの欄で見分ける記事のほうで細かく分けてある。ここから先は送話側だけを見ていく。

話す向きより、軸の開口部をふさがないこと

「マイクはどこにあって、どちらを向けて話せばいいのか」は、通話用にイヤホンを買う人が最初に詰まるところだ。2機種はどちらも耳から下に軸が伸びるステム型で、掲載画像を見ると軸の先端と本体の上側に小さな穴が開いている。軸が口元の方向へ伸びる形状は、耳の中だけで完結する丸い形状より、音源である口に近い位置に開口部を置ける。

白いイヤホン本体2つの拡大。菱形模様の入った軸と、軸の先端および上部にある小さな穴が見える。奥に白い充電ケース。英語で「SCULPTED FOR COMFORT」「ERGONOMIC IN-EAR FIT」「TEXTURED STEM」「TOUCH CONTROL」の文字が入っている
Cloud Whiteの商品ページ掲載画像(供給元のレンダリング)。英語のラベルは画像側で重ねられたもの。菱形模様の軸、シリコンイヤーピース、軸の先端と上部の小穴が写っている。穴の数と役割の内訳は商品ページに記載がない。

ただし、マイクに向かって話す必要はない。口の正面に持ってくる有線ヘッドセットのブームと違い、この形状は耳元に固定された状態で拾う前提になる。実際に効くのは向きより、開口部をふさがないことのほうになる。冬のマフラーやコートの襟が軸に当たる、髪が長くて軸の先端を覆う、マスクの紐が本体に触れて擦れる。日本の在宅環境だと、これに洗濯機、エアコンの送風、集合住宅のインターホンが加わる。ENCやCVCのような処理は、走行音や送風のように一定して続く音のほうが扱いやすいと考えられる一方で、インターホンの呼び出し音や家族の声のように突発的で人の声に近い音は残りやすい。ここは処理方式の一般的な性質からの読みであって、この2機種で当店が確かめた結果ではない。

注意:マイクの本数、指向性、配置は、2機種のどちらの商品ページにも書かれていない。掲載画像に穴が複数写っていることと、複数マイクで方向を判別する構成であることは別の話なので、画像から本数を数えて仕様として扱わないほうがいい。

マイク付きイヤホンの仕様欄で、通話に効く行はどれか

下の表は、2機種の商品ページの仕様表と説明文を、通話に関わる項目だけに絞って並べたものだ。空欄ではなく「記載なし」と書いた行が、この価格帯では判断材料になる。

商品ページで見る行 Cloud White($25.99/約4,000円) LCDタッチスクリーンケース($49.99/約7,750円)
Bluetoothバージョン5.4(高速ペアリングと記載)5.4
送話側の処理ENC+CVC音声処理ENC(ANCと併記)
受話側の処理(ANC)記載なし(静かさは密閉によるものと商品ページが明記)ANCの記載あり
マイク内蔵。本数・位置・指向性の記載なし内蔵。本数・位置・指向性の記載なし
ケースからの着信操作記載なしLCDタッチ画面で着信・音量・音楽の操作
コーデック(AAC/SBC/LDAC)記載なし記載なし
マルチポイント記載なし記載なし
バッテリー(mAh・通話時間)記載なし記載なし
防水等級IPX5(汗と軽い水しぶき。シャワー・水泳は対象外)記載なし(商品ページが明示)
装着形状カナル型、タッチ操作(軸のテクスチャーは掲載画像)カナル型、シリコンイヤーピース、短い軸
充電端子USB-C(ケース)記載なし

通話だけを基準にすると、送話側の記載が具体的なのはCloud White Bluetooth 5.4 Wireless Earbudsのほうだ。ENCとCVC音声処理の二つを並べて書き、さらに商品ページ自身のFAQで「ENCとCVCはマイク側で働くので、自分の耳に入る騒音は消えない」と明言している。価格が上のLCDタッチスクリーンケースのSmart Wireless EarbudsはANCとENCの両方を挙げていて、耳側と送話側の両方に触れているぶん範囲は広いが、送話側の処理名はENCの一語までで、CVCのような処理の記載はない。値段が上だから通話が良いという順番にはならない。

白いイヤホン本体2つと白い充電ケース。左側に英語で「EVERYDAY WIRELESS PERFORMANCE」の見出しと、Bluetooth 5.4、ENC CALL NOISE REDUCTION、LOW-LATENCY GAMING、IPX5 WATER RESISTANCEの4項目がアイコン付きで並ぶ
Cloud Whiteの商品ページ掲載画像(供給元の販促グラフィック)。左の4項目は画像側で重ねられた文字で、いずれも仕様表と同じ内容。ENCの効き方を示す測定値ではない。

もうひとつ、低遅延モードはCloud Whiteに記載があるが、ミリ秒の数値は示されていない。ゲームや動画で映像と音のずれを抑える補助として書かれているもので、会議の音声で効く項目ではない。イヤーピースのサイズ展開(S/M/Lなど)も、2機種とも掲載仕様に出てこない。密閉がゆるいと自分の声が骨伝導で頭に響いて話す声量が下がることがあるので、装着は届いてから手持ちのイヤーピースで詰める前提のほうが現実的だ。

会議アプリは、同じイヤホンを2つのデバイスとして並べる

Web会議でいちばん多い取り違えは、イヤホンから相手の声は聞こえているのに、こちらのマイクはPC内蔵のままになっているという状態だ。会議アプリの音声設定では、出力(スピーカー)と入力(マイク)を別々に選ぶ。イヤホンを買ってENCが載っていても、入力欄でPC内蔵マイクが選ばれていれば、その処理はどこにも効かない。逆に入力をイヤホン側にすると端末はハンズフリー側の経路に切り替わるので、相手に届く声は整うかわりに、自分に聞こえる相手の声の質感は落ちる方向になる。会議中に音楽を流したときほど良く聞こえないのは、この切り替えのためだ。

PCとスマホの2台待ち受け、いわゆるマルチポイントについては、2機種とも掲載仕様に記載がない。会社のPCで会議に入り、終わったらそのままワイヤレスイヤホンで電話に出る、という使い方を前提にするなら、都度つなぎ直す手順が入ると考えておいたほうがいい。片耳だけを使うモノラル運用の記載も、2機種のどちらにもない。LCDタッチスクリーンケースのほうは、ケースの画面から着信の操作ができると書かれているので、スマホを取り出さずに出る動きは作れる。ケースの表示言語は中国語と英語の2つで、日本語の記載はない。

  1. 会議の前に、スマホの録音アプリでイヤホンを入力に指定し、30秒ほど普段の声量で話して自分で再生する。相手に頼む前に、こもりと途切れをここで拾える。
  2. 会議アプリの音声設定を開き、入力デバイスがイヤホンの名前になっているかを見る。出力だけ切り替わっている状態が一番多い。
  3. Cloud Whiteの商品ページには、初回のペアリング後はケースを開けてから端末に再接続すると書かれている。開始直前ではなく、5分前に接続を済ませて設定画面まで開いておく。
  4. 髪、マスクの紐、コートの襟が軸に触れていないかを一度確認する。擦れる音は相手側にだけ大きく入る。
  5. 初回のペアリングはイヤホン側ではなく端末側で終わる。iOSは「設定」から「Bluetooth」、Androidは「設定」から「接続済みのデバイス」を開いて登録する。

円に置き換えると、どの価格帯の話になるか

国内でこの種の製品を探すと、1,000円台の実用品から、3,000〜5,000円のコスパ帯、10,000円前後の中級機、30,000円を超える上位機まで幅がある。今回の2機種は執筆時点の表示価格で$25.99と$49.99。1ドル155円で換算すると約4,000円と約7,750円で、それぞれコスパ帯の中ほどと、コスパ帯の上から中級機に届く手前という位置になる。表示はUSDなので、円換算額は決済時のレートで動く。

海外発送で受け取る場合、金額の境目がひとつある。税関の案内では、課税価格の合計額が1万円以下の物品は関税と消費税が免除されるとされている(酒税やたばこ税など消費税以外の内国消費税がかかるもの、および特に定められた対象外品目を除く)。ここで実際に計算すると、1台だけなら約4,000円も約7,750円も1万円の内側だが、2台まとめて1回の申告に入れると約11,750円になり、単純な合計では1万円を超える。課税価格の判断は申告や梱包の単位、送料の扱いによって変わるため、この記事の側で「超える/超えない」を確定させることはできない。金額が境目に近い注文をするときは、税関の案内と配送業者の説明を直接見ておくほうが確実だ。送料と最終的な支払額は全商品一覧から各商品ページに入って確認できる。

時期の話も一点。3〜4月の新生活シーズンと11月の大型セール期は、この価格帯全体が動きやすい。急ぎでなければ、必要な行(送話側の処理、マイクの記載、マルチポイント)を先に決めておいて、価格が動いた時に条件で機械的に絞るほうが早い。

「声が遠い」と言われたときによく出る3つの質問

ENC付きなら、カフェや電車の中でも通話できますか

静かな部屋よりは条件が悪くなる、というのが正直なところだ。ENCとCVCは相手に届く声から周囲の音を減らす処理で、走行音や空調のように一定して続く音のほうが扱いやすい。一方で、近くの人の話し声のように人の声と同じ帯域にある音は残りやすい。LCDタッチスクリーンケースの商品ページは、通話品質やノイズ低減の効き方は端末の設定・音量・環境・使い方によって変わるという趣旨の注記を置いていて、環境に対する保証はしていない。

ANCが付いているほうが、通話も良くなりますか

直接は良くならない。ANCが減らすのはあなたの耳に届く音で、相手のスピーカーから出るあなたの声には関与しない。ANCの記載があるのはLCDタッチスクリーンケースのほうだが、送話側の記載はENCの一語で、CVC音声処理まで書いているのはANCの記載がないCloud Whiteのほうだ。相手に聞こえる声だけが目的なら、ANCの行は見なくていい。

有線のヘッドセットに戻したほうが確実ですか

接続の切り替えが起きない点は有線のマイク付きイヤホンの利点で、会議アプリ側で入力が入れ替わる事故も起きにくい。ただし、この記事で扱っている2機種はどちらもBluetooth接続の製品で、有線モデルではない。有線に寄せる場合は、PCやスマホ側の端子が3.5mmなのかUSB-Cなのかを先に確認する必要がある。ワイヤレスのまま解決したいなら、入力デバイスの選択と軸まわりの障害物を潰すほうが、機材を替えるより先に効くことが多い。

ここまでの判断材料は、いずれも商品ページに書かれている欄そのものだ。同じ順番で他の機種も見たいときは、普段使いワイヤレスイヤホンの各商品ページを、騒音処理の欄、マイクの欄、マルチポイントの欄の順に読んでいくと、記載の有無の差が見えてくる。用途が通話以外に広がるときは記事一覧から近いテーマを選んでほしい。

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