ワイヤレスイヤホンの寿命を決めているのは、買ってからの年数ではなく、充電を何回繰り返したかだ。Series 161とSeries 162の商品ページは、どちらも1回の充電で4時間再生と書いている。通勤の往復で1日1時間使う人なら4日で1回分、在宅の会議で1日3時間使う人なら1日半で1回分になる。同じ2年でも、電池が通った回数は3倍違う。
「何年もつか」に年数で答えられない理由
リチウムイオンバッテリーの消耗は、使った容量の合計で数える。スマートフォンのメーカーが公開しているリチウムイオンバッテリーの解説も、容量の100%に相当する電力を使い切ったところで1回の充電サイクルが完了する、という数え方を明記している。半分ずつ2日に分けて使っても、合計すれば1回だ。カレンダーの日数ではなく、この合計が減り方を決めている。
だから「ワイヤレスイヤホンのバッテリーの寿命は2年」という言い方は、当たる人には当たり、外れる人には大きく外れる。毎日の電車でしか使わない人と、一日中つけっぱなしで会議に出ている人では、2年のあいだに通した回数がまるで違うからだ。年数を聞くより、自分が年に何回充電しているかを数えたほうが早い。
もうひとつ、完全ワイヤレスにはバッテリーが3つ入っている。左右のイヤホン本体と、充電ケースだ。イヤホン側は毎日減って毎日戻るが、ケース側はイヤホン2個を満充電するぶんの容量を出したときに減っていく。ペースが違うので、寿命も同時には来ない。
ワイヤレスイヤホンの寿命を、自分の使い方から逆算する
商品ページの数字を使って、年間のサイクル数を出してみる。Series 161とSeries 162はどちらも、イヤホン本体が1回の充電で4時間再生と書かれている。使った時間の合計を4で割れば、おおよそのサイクル数になる。
平日の通勤で往復1時間なら、週に5時間。4時間で1回分なので週およそ1.25回、年におよそ65回だ。在宅勤務でオンライン会議に1日3時間つけているなら、週に15時間で週およそ3.75回、年におよそ195回になる。2年たった時点で、前者は130回、後者は390回。同じ「2年使ったイヤホン」でも、電池の中身は別物になっている。
ケース側は別に数える。両機種の商品ページは、ケースがもう1回分の充電を足して合計24時間、と書いている。ただし4時間と24時間という2つの数字の関係も、mAhの記載も、ページにはない。ケースに何回分が残っているかは、正面のLED表示の数字を見ながら自分で把握することになる。

減ってきたかどうかは、再生時間で測れる
「最近もちが悪い気がする」は、数字にすれば判断できる。満充電にしたイヤホンで音楽を流し、音が切れるまでの時間を計るだけでいい。商品ページの4時間に対して2時間で切れるなら、使える容量はおよそ半分まで落ちている。スマートフォンの再生開始時刻を覚えておけば、専用の道具は要らない。
あわせて見ておくとよい変化が3つある。ひとつは、満充電の表示からの落ち方が急になること。ふたつ目は、ケースに戻して充電したのに、しばらく置くと減っていること。3つ目は、音の途切れや接続落ちが増えることだ。電圧が下がると通信のほうが先に不安定になるので、再生が止まる前に接続がおかしくなる機種は多い。
左右で差が出るのは、それ自体は異常ではない。通話で片方だけ使う癖があれば、その側だけ多くサイクルが通る。片方が先に切れるようになったからといって、すぐ故障と決めなくていい。ただし本体やケースが膨らんで見える、変形して蓋が閉まらない、充電中に熱をもつといった状態は別の話だ。安全上の注意:バッテリーの膨張、発熱、変形が見られたら、充電も使用もやめて、お住まいの自治体が案内している小型充電式電池の回収方法に従って処分してほしい。

バッテリー交換に対応しているメーカーは、日本でも限られる
完全ワイヤレスのイヤホン本体は、指先に載る大きさの中に電池と基板とアンテナが接着で組まれている。ワイヤレスイヤホンのバッテリー交換をユーザーの手でできる構造には、まずなっていない。国内の大手メーカーの一部は有償の交換サービスを公表しているが、対応するのは一部の機種で、片側単位の扱いになることが多い。金額は1万円前後という案内が目につくものの、メーカーと機種で違うので、自分の型番を公式サイトで確認するのが先になる。
独立系の業者にワイヤレスイヤホンの修理を頼む道もある。ただし完全ワイヤレスは型番ごとに電池の形も基板の配置も違うため、受けられる機種とそうでない機種がはっきり分かれる。見積もりの前に、型番を伝えて対応可否を聞くところから始まる。フリマアプリで片側だけを買い足す人もいるが、出品されている個体は左右で使われ方が違っていることが多く、届いた側のバッテリーがどれだけ減っているかは使ってみるまでわからない。
Series 161とSeries 162については、商品ページにバッテリー交換の記載も、保証期間の記載も、片側だけの販売についての記載もない。修理や交換を検討するなら、まず販売元に条件を確認してほしい。
捨てるか、直すか、買い替えるかを金額で分ける
判断は、3つの数字を並べれば済む。交換や修理の見積もり、同等品を買い直す金額、そして直したあとに何年使うつもりか。3万円を超える機種で片側1万円の交換なら、計算は立ちやすい。1万円前後の機種だと、交換代が本体の半分を超えて微妙になる。3,000〜5,000円のいわゆるコスパ帯や、100円ショップで1,100円台の棚に並ぶような価格帯では、送料と手間のほうが先に上回る。
Series 161とSeries 162は、執筆時点でどちらも14.99ドル。1ドル155円で換算するとおよそ2,300円で、後者の側に入る価格帯だ。海外から発送されるため、支払額は決済時のレートと送料で動く。この価格帯のイヤホンを片側だけ修理に出すのは、金額としてまず成立しない。
もったいないと感じるのは自然な反応だが、いちばんもったいないのは、動くのに引き出しで放置されている状態だ。再生時間が半分になったイヤホンは、通勤の往復には足りなくても、家で30分の作業用や、寝る前に音を流すだけの用途なら現役で使える。用途を一段落として最後まで使い切り、通勤用として新しいものを足す。この分け方なら、買い替えの判断も先延ばしにならない。

Series 161と162の電池まわりで届く質問
バッテリーが減ったイヤホンを、そのまま使い続けても問題はないか
再生時間が短くなっただけなら、使い続けて差し支えない。減った容量が戻ることはないので、短い用途に回すのが現実的だ。ただし本体やケースが膨らむ、充電中に熱をもつ、変形して蓋が閉まらないといった変化が出たら、そこで使用と充電をやめてほしい。この2機種の商品ページには、バッテリーの取り扱いに関する個別の記載はない。
片方だけ先に電池が切れるようになった。故障だろうか
多くの場合は故障ではなく、通ったサイクル数の差だ。通話でいつも同じ側を使う、片方だけ先にケースから出す、といった癖があると、その側だけ早く減る。両方をケースに戻してLED表示が満充電になるのを待ち、同じ条件で再生時間を計り直せば差がはっきりする。それでも片側だけ極端に短いなら、販売元に相談する段階だ。
イヤホン本体とケースでは、どちらが先に寿命を迎えるか
使い方によるが、毎日充放電を繰り返すイヤホン本体のほうが先に来ることが多い。ケースはイヤホン2個を満充電するときにまとめて容量を出すので、同じ期間でもサイクル数は少ない。ただしケースが先に劣化すると、外出先で充電できなくなるぶん不便さは大きい。満充電にしてもLED表示がすぐ数字を落とすようになったら、そちら側の合図になる。
減りを遅くして、最後まで使い切る
まず温度だ。夏の車内やダッシュボードの上、直射日光の当たる窓際は避ける。前述のメーカー解説も、推奨されるバッテリー温度を超えるとソフトウェア側が充電を制限する場合がある、と書いている。7月から9月の日本の車内は、その範囲を簡単に超える。
次に、0%まで使い切る必要はない。同じ解説は、再充電の前に電力を使い切る必要はなく繰り返し充電して使える、と明記している。継ぎ足しを避ける理由はないので、使い終わったらケースに戻す習慣のほうが実利がある。机や耳に置きっぱなしにすると、切れるまで放電し続けたうえ、次に使うときに満充電から始まらない。
イヤーピースも寿命に効く。両機種の商品ページは2サイズのシリコンイヤーピースが付属すると書いている。サイズが合っていないと低音が抜けて音量を上げがちになり、同じ再生時間でも電池の減りは早くなる。硬くなったり縮んだりしたイヤーピースを替えるのは、本体を延命する側の作業だ。ちなみにBluetoothのバージョンは、商品ページによればSeries 161が5.4、Series 162が5.3。どちらも接続の安定と低遅延についての記載はあるが、消費電力についての記載はないので、新しいほうが長もちするとはこの2機種の記載からは言えない。
- 満充電から音が切れるまでの時間を、1回だけ計る。商品ページの再生時間の半分を割っているなら、容量はもう半分以下だ。
- 週あたりの使用時間を再生時間で割り、年間のサイクル数を出す。年数ではなくこの回数で、寿命のどのあたりにいるかがわかる。
- 型番をメーカーの公式サイトで検索し、交換サービスの対象かどうかと金額を確認する。対象外なら、修理業者に対応可否を聞く。
- 見積もりが出たら、同等品の買い直し金額と並べる。数千円の価格帯なら、比べるまでもなく買い替えが早い。
- 手元の1台は捨てずに、家用や就寝前用に用途を落として最後まで使い切る。
再生時間や付属品の記載を機種ごとに並べて読みたいときは、普段使いワイヤレスイヤホンの各商品ページを、再生時間の欄から同じ順番で見ていくと、記載のある項目とない項目の差が見えてくる。この記事で数字を引いた2機種はEARSOLE True Wireless Earbuds Series 161とEARSOLE True Wireless Earbuds Series 162。ほかの形やケースも見るなら取扱商品の一覧から、別の記事は記事一覧からたどれる。
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